川重冷熱工業株式会社様
事業概要
モバイル環境の情報セキュリティを大きく向上させた「DigitalPersona AD」
- 一括管理がしやすく、クレームも激減
100年を超える技術をベースに、大規模空調システムの基幹製品を製造
航空機やジェットエンジン、新幹線をはじめとする鉄道車両、ガスタービンなどの発電設備、そしてオートバイも製造するわが国屈指の技術系企業である川崎重工を知らない人はまずいないだろう。
川重冷熱工業株式会社(以下、川重冷熱工業)は、その川崎重工のグループ企業で、吸収冷温水機やボイラーなどを製造している。
どちらも一般家庭にはあまり縁がない製品だが、吸収冷温水機はオフィスビルやショッピングセンター、病院などの大規模な空調システムの要になる製品であり、ボイラーは工場の生産ラインや地域冷暖房などでも広く利用されている。
同社の設立は1972年で、現在の社名になったのが1978年というのは比較的新しいようだが、その起源は19世紀(明治20年代)にまで遡り、1899年に最初のボイラーの製造・販売を開始するなど、100年を超える歴史と技術の蓄積があり、吸収冷温水機では他の追随を許さないトップメーカーだ。
モバイル環境での情報セキュリティ確保がテーマに
川重冷熱工業の情報システムは川崎重工グループ全体のシステムに統合されており、インターネットへの接続やメールの基本システムも川崎重工と共通で、情報セキュリティについては、基本的に川崎重工本体と同レベルの対応を求められているという。 具体的には、ウイルス対策についても川重グループ全体のポリシーに準じて対応しており、外部へのネット接続はグループのプロキシサーバでコントロールされるようになっているなど、セキュリティのレベルは比較的高いといってよいだろう。 ただし、川重冷熱工業では川重グループの中でもサービスや営業の人員の比率が高く、多数の営業マンやエンジニアがノートパソコンを持ち歩いて仕事をしているため、モバイル環境でのセキュリティをどう確保するかが大きなテーマだった。
以前はUSBキーを使用し、多発したトラブル
同社の場合、モバイル環境でのセキュリティについても川重グループのポリシーがあり、社内のネットワークに接続するにはモバイル端末として登録されたものからでなければならないそうだが、情報システムを統括している経営管理部・情報システムグループ課長・川嶋達也氏は、「当初、その認証はUSBキーと暗証番号でやっていたんですが、 以前はUSBのキーがかなり大きかったこともあって、使用中にぶつけてしまったり、何度も抜き差ししなければならないということもあって、キー自体やUSBのポートが壊れてしまうというトラブルがかなりありましたし、それを避けるために、端末を起動した後にキーを抜いてしまうという社員も多いことがわかりました。また、USBキーはパソコンと一緒にしておいては意味がないのですが、それを徹底してもらうのは大変ですし、分けたら分けたで、キーを別の上着に入れたまま出かけてしまって端末を起動できないといったトラブルもありました。正直、社員にもかなり不評でしたし、システム担当の私としても“何とかしなければ”と思わずにはいられない状況でした」 という。
Active Directoryに完全統合できる
- 「DigitalPersona AD」の導入へ
川嶋氏は、一時はICカードを使うことも検討して、カードリーダー付きのパソコンをまとめて導入したこともあったそうだ。ただ、ICカードはコストもかなり割高で、モバイル端末用のメディアとしての将来性にもやや不安があり、何より、WindowsのActive Directoryとうまくリンクできるような製品が見当たらなかったため、結局、採用を見合わせるしかなかったという。
「ちょうど、Active Directoryを再構築してシステム全体をもっと使い勝手の良いものにしようと考えていたところでしたので、それに対応できない製品では仕方がなかったんですね」(川嶋氏)とのことだ。 ところが2008年に、展示会でヒューマンテクノロジーズのブースを訪れ“DigitalPersona AD”のことを知り、Active Directoryに完全に統合されているだけでなく、大半の主要メーカーのノートPCに搭載されている指紋センサーにも対応していることがわかって、「こんな製品があるんだと驚きましたし、これはいいなと思いました」(同)という。 また、川重冷熱工業では全国に18の事業所があり、各事業所にシステム担当者がいるわけではないので、トラブル対応にもメンテナンスにもリモート操作に頼らざるをえないことが多いが、“DigitalPersona AD”はその点にも柔軟に対応できることも導入の決め手になったようだ。
“DigitalPersona AD”の導入でクレームも激減
川重冷熱工業では、現在、約120人の社員がモバイル用のIDを持っていて“DigitalPersona AD”によって指紋認証をおこなう端末を使用しているが、USBキーを使っていた頃に較べるとトラブルやクレームは劇的に減ったという。 「指紋認証の場合、キーを持ち歩いたりする必要がないので、忘れる心配がありませんし、物理的に壊れることもまずないというのは、とても大きなメリットだと思いますね。たしかに個人差もあって、中には指紋が認証されにくい人もいるのですが、それも慣れの問題で、コツがわかればスムーズに使ってもらえるようになります。ですから、社員からクレームを聞かされることがほとんどなくなりました。情報システムについて何も言ってこないということは、使い勝手がよく、不満が解消された、ということだと思います。今は“DigitalPersona AD”を導入して本当によかったなと思っています」(川嶋氏)とのことだ。
川嶋氏
全社での利用も視野に
現在、同社で“DigitalPersona AD”を使用しているのは大半がモバイルユーザーだが、経理などの部署ではデスクトップの端末でもすでに使い始めているという。全社員に使ってもらうかどうかはまだ未定だそうだが、「パスワードは面倒だということもありますし、社員からの要望が多ければ、当然考えることになるでしょう」(川嶋氏)という。 また、同社の端末のOSは現在WindowsXPだが、今後購入する端末から順次Windows 7にバージョンアップされて行くことになる。川嶋氏も「“DigitalPersona AD”を使えば柔軟に一括管理ができるというのは本当にありがたいですね」とおっしゃっているが、端末の入替時に“DigitalPersona AD”の導入が進んでいけば、さらに深く、広くメリットを享受していただけるに違いない。
“暮らしと産業のより良い環境づくり”(同社会社案内より)をめざす川重冷熱工業に、“DigitalPersona AD”はとてもよくマッチしている、といっていいだろう。